税理士事務所を開業する際、税務署や税理士会からの連絡手段のため、税理士会への申請書類に電話番号の記載を必ず求められます。そこで、①固定電話を設置する、②携帯電話を契約する、③050plusなどのスマホアプリを導入、④クラウドPBXを契約するといった選択肢があります。もちろん既に持っている個人の携帯電話の番号を記載することも可能です。しかしながら、誰でも閲覧可能な日本税理士連合会の税理士検索のホームページに記載されてしまい、全国に個人の携帯電話番号をさらされることとなります。また、自宅で開業する場合は、自宅住所が同様に全国公開されてしまいます。
個人情報漏洩のリスクをすこしでも軽減するために、私が取った方法は、自宅以外の事務所を契約し、上記①~④のうち、②携帯電話を新規契約した上で、①固定電話を設置することにしました。
電話番号を2つ新規に契約するだなんて、コストがかかって手間なことを!携帯電話だけでよかったのでは!?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
私自身、当初は②携帯電話を新規契約するだけで良いのではないかと思っておりました。しかし、記憶に新しい2022年7月のauの全国規模の回線トラブルが、①固定電話の設置の後押しとなりました。緊急性の高い連絡が取れない状況というのは、税理士として、信用問題に直結します。電話の好き嫌いは別として、電話だけでなく、メールやLINEなどで連絡をしても一向に返事のこない方と好んで仕事をしようと思う方はまずいません。お金を稼いでいくためには、どうしようにも他者とかかわっていく他ありません。たかが電話。されど電話。
ちなみに、上記の③050plusなどは、新しく携帯電話を持つ必要がなく、既存の個人の携帯電話1台で新たに番号を取得できる方法なので、非常に便利!かと思ったのですが、2022年現在、残念ながらそういったアプリの大半の通信環境が非常に不安定で、インターネット回線による通話品質が、①固定電話、②携帯電話に比べて著しく劣ることが懸念材料でした。そして、もう1点、自分の元々の携帯電話にかかってきたのか、050plus等で取得した新しい電話番号にかかってきたのかの判別がつかないということが、断念する大きな理由になりました。
最後に④クラウドPBXにつきましても、通話品質が不安定、ひとり税理士にとっては月額利用料が高額、という面で断念しました。
なお、法人で銀行口座を開設する際、固定電話を持たずに携帯電話のみでの口座開設は不可とされてしまう銀行が一定数あります。固定電話を設置している個人事業主や法人の方が安心されるのは、令和の現代でもあるあるな話のようです。050からはじまるIP電話なども、若干信用度は弱いみたいです。
電話をしない方が増えている中、自分がどの連絡手段を選択するかによって、関わる相手を絞ることもできますね。独立開業するからには、自分の関わりたい相手を想像することで、自分の連絡手段も自ずと決まっていくのではないでしょうか。長くなってしまったので、続きはまた次回に。次回は、日本税理士会連合会の税理士検索で電話番号を非表示にする方法のお話です。
追伸:iPhoneを普段使用しているため、eSIMを新たに契約することで、既存のiPhone1台で電話番号を2つ運用することを実際は行っています。新たに携帯電話を契約することも検討しましたが、持ち物を少しでも減らしたいことから、楽天モバイルでeSIM契約しております。iPhoneの着信履歴には、元々の個人の電話番号宛か、eSIMの電話番号宛にかかってきたのかが表記され、通話品質も問題ないため、今のところはうまく運用できています。